天ぷら雑感・・。

20年程まえ食通の先輩に『ひろしくん、君ら天ぷら天ぷらって一括りに呼んでるようだけど、いろんな系統の店があるって知ってたか?東京だけでも「天一系」「天政系」「みかわ系」「山の上ホテル系」「京星系」と大きな流派が五つもあって、それぞれ揚げ方が違うし君らが考えてるよりもずっと奥深いもんなんだぞ!』と教えてもらったことがありました・・。

あれからこの「天ぷら」という料理にドップリ嵌り、5大系統のみならず東西南北ありとあらゆる店を食べ歩いて、気づいたことがあります・・。

天ぷらって、老舗うんぬん流派うんぬんというよりも、揚げ手個人が元々持っている感性の方が大事で、修行年数とか良い師匠に巡り合うとかは全く関係なく、ある日突然その職人に閃きのように舞い降りて来る天才性みたいなもんがあるんじゃないかと・・。

僕が今までこりゃホントの天才じゃなかろうかと感じた天ぷら職人は三人います・・。

一人は地元秋田「天ぷら醍醐」の北嶋さん・・。

もう一人は東京錦糸町にあった「よこやま」さん・・。

そして三人目が今回お邪魔した「七丁目京星」の榊原さんです・・。

残念ながら北嶋さんは現在殆ど板場に立つことは無く、横山さんは数年前に他界されました・・。

七丁目京星の榊原さんはその名の通り、五大系統でいうと「京星系」に当たります・・。

同じ流派で実兄にあたる銀座の「由松」、錦糸町よこやまの跡地に店を構えた「はせ川」、京都祇園にある本家の「京星」にも行ったことがありますが、いずれも素揚げのような薄衣で揚げ方は同じなのに、榊原さんのような天才性を感じることはありませんでした・・。

七丁目京星は、過去(2007年)から現在(2021年)まで世界で唯一の天ぷら部門ミシュラン三ツ星獲得店なんですが、何故か食べログの点数が(3.21点)低いんですよね・・。

外人(ミシュラン審査員)に判って、肝心の日本人には理解できないなんて・・嘆かわしい・・。

写真は掻き揚げにお茶を掛けて食べる「天茶」・・。

いまは何処の天ぷら屋でも見掛ける様になりましたが京星が元祖だと言われております・・。

「わたしは嵐山吉兆でも修行しましたが、日本料理の中でも天婦羅の技術こそ奥義、最難関なんです。」という話を、以前榊原親方から聞いたことがありました・・。

この天ぷらを食べながら聞くと、ホントにその通りだよなと実感します・・。

コメントを残す