トラフグについて・・。

先日、行きつけの和食屋で久々にトラフグを食べました・・。

此処何十年か、日本のみならずわざわざ外国まで出向いて、ありとあらゆる食材を食べ歩いてきたつもりですが、未だにこの「トラフグ」以上のものに出会ったことはありません・・。

このまったくの無味無臭とも言える唯一無二の不思議な魚に、何でこんなに魅了されるのか・・。

テッサにせよ白子にせよ皮にせよ、口に入れたとたん頭に浮かぶのは、暗くて底の見えない洞穴にも似た深い穴です・・。

いったんフグに魅せられた人は、その深淵を覗かんとして何処までも奥に潜り込み、奥底に存在するであろう何かを探しながらも結局は見つけられずにまた浮上してくる、という奇妙な感覚に何度も陥ったはずです・・。

でもたぶんフグの良さって、繊細かつ捉えどころがない故に、万人が理解できる物ではないような気がするんですよねぇ・・。

もしかしたら何十年も美食を重ね、なみなみならぬ経験を積んだのち、あらゆる食材を舌と頭で並列にならべることが出来てからこそ辿り着く、最後の難問みたいなものがフグなんじゃないでしょうか・・。

唐揚げにしても良し・・。

ヒレを冷酒に漬けて呑むのも良し・・。

最近あれほど執着していた「美食探訪」への興味が薄れたのは、フグに比する何物をも発見することは不可能だという事を、もはや自分はゴールに辿り着いていたという事を、気づいたからなのかもしれません・・。

何でもかんでも食べてみる・・⑬後編。

何でもかんでも食べてみる・・⑬前編。

長崎で・・。

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